子どものころTVか何か覚えていませんが、ネズミが群れをつくって、行進を始め、大草原をどんどん進みます。その群れの大きさは、草原を覆うような感じのとてつもなく大きなものでした。どこに向かって行進しているのかわからないのですが、とうとう草原の端まで来ます。そこは崖で、崖の向こうは海が広がっています。行進はそこで止まるのかな? と思っていたのですが、止まることなく、先頭を走っているネズミたちは、どんどん崖から海に飛び込んでゆきます。後ろからは、どんどんたくさんのネズミたちがやってきます。後ろからネズミたちはその先が海だと気が付いて止まるのかと思ったのですが、そのネズミたちも海に飛び込んでゆくのです。私の記憶はここまでなのですが、最近この記憶がよみがえってきました。
この記憶は、本当のことだったのか? 気になってインターネットで調べてみました。すると、地球の北のほうに住んでいて、尾は短く、耳が小さい、ずんぐりした体形で、体長が10cmほどの【レミング】というネズミの話だということが分かりました。私の記憶は正しかった(?)ようです。このネズミは、いつもは静かに暮らしているけれど、ある日突然一斉に姿を現し、巨大な群れを作って行進を始めるのだそうです。そしてその行進は、私の記憶通り、草原を埋め尽くすような大群で、草原の先端の崖まで来て、海に集団で飛び込んでゆくと書いてあります。このネズミは、泳ぎがうまいそうですが、海を泳ぎ切ることはできません。【レミング】の個体数は、急激に増減するそうで、個体数が大増加すると、集団移住を始めると考えられているそうです。そして増えすぎた個体数を減らすために自ら海に飛び込み、ある程度数が減ると、残りのネズミたちは「ピタッ」と海に飛び込むのをやめ、来た時のようにどこへともなく姿を消してしまうと書いてありました。
ネズミたちは、どうやってどこにいるかもわからない仲間の数が増えすぎたことを知るのでしょうか? そして、行進するネズミの先頭は、本当に個体数を減らすために、行進しているのでしょうか? 自ら死ぬために行進を始めると考えるのは、とても不思議に思います。説明では、「自殺」ではなく「事故」であると書かれていましたが、もしかすると、増えすぎた仲間みんなが住める土地を見つけようとして行進していたのではないでしょうか? 【レミング】は、泳ぐことができるそうなので、海の向こうには、みんなが住める土地があると、思っていたのかもしれません?
去年の暮れから起きている様々なことや、能登半島地震の後の国のことを見ていると、私たち日本人は、【レミング】の行進をしているのかもしれない? と心配になります。先頭を走っている日本人は、何を考え、何に向かって行進しているのでしょうか? そして、あとに続いて行進している私は、ただ先頭に続いているだけでよいのでしょうか? 立ち止まろうと思っても、立ち止まることができません。どうにかして、ゆっくり考えながら、歩かなければならないのですが…。