『小中高生の自殺、過去2番目水準』と、大きな見出しで、2023年の自殺者数を、厚生省が暫定値で発表しました。それによると、507人の子ども・少年少女がなくなり、2022年の514人に次いだ水準で高止まりし、深刻な状況が続いていると書かれています。内訳は、小学生13人、中学生152人、高校生342人となっていて、「学業不振」が一番多く次に「進路に関する悩み」が続いているそうです。1日に1.4人、ひと月に42人の命がなくなっているということになります。毎日、日本のどこかで、命を絶つ子どもたちがいる現実を私たちはどう受け止めたら良いのでしょうか?
「いや、日本中では2万1818人が自殺しているのだから、大人たちだって辛くて、追いつめられているし、子どもたちも仕方がない」と言う人はいるでしょうか? 世の中は不況が30年も続き、生活が苦しくなっているのは確かで、30代から60代の有職者で、生活苦や事業不振による自殺が増えていると報告されています。翌日の朝日新聞(1月28日付)では、26歳の若い医者が、自宅に帰って寝る間もなく研鑽(勉強)と労働(診療)が続き、うつ病を発し、自ら命を絶った話をうけて、大学病院の勤務の実態を報告する特集記事が1面で載っていました。この記事では、一般的に社会の勝ち組で、裕福な暮らしをしていると思われる医者の世界でも、若い医者たちは、うつ病を発症して、命を絶つほど追い詰められていることが書かれています。
同じ新聞に『教育虐待をなくすには』という1面の特集記事も載っていて、中学受験熱の高まりを背景に、子どもへの保護者の指導が行きすぎる事例が書かれていました。親は子どもに「良かれ」と思っているし、子どもたちは、親の言うことをしっかり守って、我慢している姿が報告されています。記事の中で、ある塾の講師が「嫌がる子どもに無理に勉強を強要した場合でも、小学校中学年ぐらいまでは成績が伸びてしまうことがあり、それが親にとって誤った成功体験になることがある」と話しているのが目につきました。またある親は、「親は子どもがルートから外れないように、勉強させようとする。親も周囲も子どもを温かく見守るゆとりがない」と語っています。
記事を読んでいても、子どもたちを追い詰めて、凝らしめてやろうという人は誰もいません。皆、『子どものためになる』と信じて? やっていますが、結果として、子どもたちが寝不足になったり、成績が下がるなど、度重なるストレスから髪や眉毛を抜いたり、頭のところどころがはげたりする状況になっているのです。自分の子どもには、毎日どれほどの課題(教科学習の量やレベル、部活動など)が課せられているのか、それは子どもにとってこなせる課題なのか、とても無理な課題なのか? 誰もわかっていないのが現実だと思います。しかし、一度課せられてしまうと、「きちんとやり切らなければならない」と、親も子どもも、教師たちも信じているように私には見えます。今、子どもが「疲れた」と言った時、まず体を一番に考え「休ませる」心のゆとりが大切だと私は思います。