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「キビシイ」って?

先月の塾長日誌で触れた、宝塚歌劇団の音楽学校は、とても『キビシイ』学校で有名でした。また、ある芸人は、「刑務所のようにキビシイ学校を卒業した」という話があります。プロ野球のOB達がTVで語る、学生時代の部活の思い出話の中にも「1年生は奴隷、2年生は普通人、3年生は神様」と言われていたという話もあります。バラエティ番組で語られているときは、みな笑いながら楽しそうに、そして良い思い出だといった感じで話しています。一方、「北国の冬はキビシイ」「キビシク取り締まる」「前途はキビシイ」「キビシイ国際情勢」などと言う言い方もあります。



このような話に出てくる「キビシサ」とは何なのか? 不思議に思ったので、国語辞典で『きびしい』という言葉の意味を調べてみると「厳格で、なさけ容赦がない。はなはだしい」と書いてあり、【厳しい・酷しい】という字が載っていました。(岩波 国語辞典 第四版)『キビシイ』という意味を表す漢字が二つあることを知らなかったので、更に漢和辞典(角川 新字源)を引きました。



【厳】 1. きびしい。 2. いましめる。 3. たっとぶ。 4. つつしむ。 5. おごそか。

【酷】 1. こい(濃い)。つよい。酒の味がこい。酒の香りがきつい。 2. きつい。ひどい。 3. むごい。無慈悲な。 4. うらみ。うらむ。



前出の話では「キビシイ」という言葉が、『厳しい』か『酷しい』のどちらの言葉で表現するかで、全く違う話になります。宝塚音楽学校の話は「酷しい」という字が当てはまり、バラエティ番組では「厳しい」という字が当てはまっているということなのでしょうが、私には、どちらの話も、どちらの字も当てはまると思います。音楽学校を卒業して「厳しい学校生活だったから、今の自分があります」と語る生徒がいても「酷しい学校生活だったから、身も心もボロボロになりました」と語る生徒がいても不思議ではありません。しかし、何かトラブルが起きたとき、当事者の生徒に対し、「多くの人はちゃんとやっているのに、あなたはできなかったのね」などと、周囲の人が言うことがよくありますが、そのようなことは簡単に言うことができないと思います。



「キビシイ」といわれる体験が、「厳しくて良い体験」か「酷い体験」か、どう受け止め、どう考えたらよいか私は迷います。昔は「良い体験」と受け入れられていたけれど、トラブルが起きた今、「それは子どもに対する暴力(犯罪)だ」と考えざるを得ないこともあります。音楽学校のことは特殊な話に見えますが、私には、教育の世界でも、同じことが起きているような気がして、心配になります。なぜなら【教】という漢字は、『手にムチを持って教える姿』からできているからです。私は教育の現場でトラブルが起きたとき、まず子どもの目の輝きや、声の力(様子)から伝わってくることに注意し、子どもが話す「言葉」を理解しようとしています。