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「学習性無力感」と「諦め」

人間は、何かしらのストレスがかかれば、抵抗したり回避したりしようとするものです。しかし、いくら行動を起こしてもストレスから逃れられないと学習すると、無気力な状態に陥ってしまい、「どうせ何をやっても無駄だ」「頑張っても意味がない」という気持ちになることが良くあります。このことを「諦め」という言葉で表現し、実際にストレスから逃れられるチャンスが訪れたとしても、現状維持の状況に甘んじることが良くあります。このように、ストレスから逃れようとする行動を起こさなくなってしまう現象を学習性無力感と言うそうです。このような現象は人間だけではなく、動物でも起き、動物の防衛本能ととらえることができるそうです。



しかし、【諦め】という言葉の意味は、【悟る】です。現状がストレスから逃れることができない状況であるということをありのまま受け止めるということで、行動を起こさなくなるということではありません。先日、ジェンダーギャップ指数(女性数値 / 男性数値)が、発表されましたが、なんと日本は、0.647(男女格差がない場合は指数が1.000になり、格差が大きくなるほど0.000に近づく)で、146カ国中125位でした。いまだに男女格差がひどいことがわかります。(2006年の第1回は0.645で、115カ国中80位。その後もスコアはほぼ横ばいで、順位は下落傾向が続き2023年の125位は過去最低。)数値が、発表されるようになってから20年近くたつのに、他国が格差解消の取り組みを進める間、日本は足踏みしてきたのです。この状況は、まさに学習性無力感に覆われている社会になっている状態だと私は思うのですが、最近の社会の様子は違ってきたように見えます。



ジェンダー指数0.748で第43位のアメリカでさえ、2016年、アメリカの大統領選挙で、候補のヒラリー・クリントンが、「最も高くてかたいガラスの天井はまだ、打ち破れていないが、いつか誰かが、私たちが考えているより早く達成してくれるだろう」と、敗北宣言の中で言っていました。日本では、特に政治と経済界での格差がひどいのですが、一昨年の杉並区長選挙、昨年の杉並区議会議員選挙、今年の前橋市長選などで女性たちの躍進がありました。TVや新聞、Youtubeを見ていると、政治経済界以外では、発信する女性だけではなく、オピニオンリーダーとしての女性をたくさん見ることができます。つまり、日本の女性たちは、ジェンダーギャップがひどい状況がずっと続いているけれど、「諦める」ことはあっても、「行動する」ことをやめていなかったということが見えるようになってきたのです。



回避することができない日々のストレスの中で、「学習性無力感」を感じたときは、防衛本能なのですから、「行動する」力が無くならないように、ちょっとひと休みましょう。見方を変えると、少しずつ、ストレスを回避したり、逃れることができる状況(社会)になっているのですから。