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宿題は何のため? 誰のため?

「先生、毎日宿題を出してください」これは、私の子どもの小学校の保護者会に出席していた時に、よく聞かれた言葉です。このころは、宿題を出す先生は頑張っている先生で、出さない先生は、あまりやる気がない先生と、親たちから思われていたように感じます。そのころから40年ほど経ちましたが、今の親たちはどうなのでしょうか? 先生にこうお願いしている親の気持ちの多くは、子どもは、学校から帰ってくると全く勉強をすることなく一日が終わっている。このままでは勉強に遅れてしまうかもしれないから、家に帰ってから学校で勉強してきたことを復習してほしいとか、毎日家で少しでも今日習ったことを繰り返すことで、毎日勉強する癖・習慣が身につくようになると思っていることが多かったように思います。



本当に毎日宿題を出されていた子どもたちに、勉強する習慣が身についたかどうか? 私は検証された話を聞いたことがありませんので、わかりません。しかし60年前、私は母から「毎日10分でも勉強をしていると勉強する習慣が身につくから、今日からこれを必ず1ページずつやりなさい」と言われ、国語の漢字ドリルと算数の計算及び文章題ドリルを渡されたことがありました。そのころの私は、親の言うことに素直(?)に従っていましたので、学校から帰ると必ずやっていましたが、ある日学校帰りに友達と遊ぶ約束をしたときです。家に着くとしばらくして友達が私を迎えにやってきました。私はまだ、ドリルが終わっていなかったので「ちょっと待って」と友達を待たせ、とにかくドリルの空欄を埋めて家を飛び出したことがありました。このときは、問題の内容を何も考えないで適当に書いたか、後ろの答えを見て写したかどうか覚えていませんが、急いで空欄を埋めたのです。この時の私は、母親の願いとは全く違っていたはずです。そういうことがあってからは、問題を解くことよりも、空欄を埋めることが一番大事に思っていたように覚えています。私は毎日学校から帰るとすぐドリルを開いていましたが、勉強をしたという記憶はありません。母からの課題は、私が遊びに行くときに許可を得るためのものになっていたような気がします。この体験から私は、毎日勉強する習慣が身につくと考えられていた宿題によって、子どもに勉強する習慣が身につくとは思えないし、勉強しないといられないという癖が身につくとも思えません。幸いにも、私は勉強することが嫌い、ドリルを見るのも嫌いということにはなりませんでしたから、試験の前になると普通に勉強していました。普通といっても、1・2週間前から勉強しようと思ったけれど、いつも直前になって慌てて勉強する状態でした。



一方、宿題を出している先生の立場になって考えてみると、毎日宿題を出すということは、結構大変だと思います。また、生徒たちが宿題をきちんとやってきたかどうかを確認する作業は、もっと大変なことだと思います。宿題は一体誰のためにあったのでしょうか? 今になって考えると、とても不思議な、どこにでもある教育現場の習慣だと思います。