コロナウィルスのワクチンの接種について、最近毎日報道されています。その中で目につくのが、ワクチン接種の進み具合を都道府県別に並べ、「どこの県が一番とか、東京都は何位になった」などと毎日発表していることです。接種の状況を報道する必要は確かにあると思いますが、どうしてマスコミは、一位から47位まで順位を示しているのでしょう。いや、それとも国が発表し、各自治体をあおっているのでしょうか? どちらにしても我が国は、あらゆることに実情を無視して、ランクを付けて競争させる国になったようです。
つい最近までは、いつワクチンが輸入できるかわからない中で、「ワクチンさえ届けば、もう安心です」と言い出しました。しかしその時点では各自治体に、ワクチンを、いつまでにどれだけ届けることができるのか? わからないどころか、すでに医療現場が崩壊状態になっているところも出はじめ、ワクチンが届いても、「打つ医者が足りない」「看護師が足りない」「摂取する場所をどうするのか?」などと騒ぎになりました。
とにかくまず、医療現場の人たちにはワクチンを打ってもらわなければ」と言い出したのが2月だったでしょうか? いまだに医療現場の人たちの接種は終わっていませんが、オリンピックの開幕の日が、近づいてくると「7月末までにワクチン接種を終わらせる」と言い出し、それを実現するために『目標、1日100万人接種』という号令が出されました。各自治体には、7月末までにワクチンの接種を終わらせる計画書を作らせたようです。自治体の多くは、とにかく紙の上で数字を動かし、7月末に終わるストーリーを作ったそうです。まるで歴史ドラマに登場する、弱気で、無能な独裁者が、突然思い付きでヒステリックにいろいろ命令を下す場面を見ているようです。
開幕まで、あと50日を切ったオリンピックも、私たちには何も決まっていないように見えますが、「決めた通りにやれ!」と言わんばかりの姿勢がうかがえます。はじめは、「東北震災からの復興」の様子を世界中の人たちに報告し、たくさんの支援に対する感謝の気持ちを伝えるためのオリンピックだったはずが、いつの間にか「世界中を襲ったコロナに打ち勝ったことを表明するオリンピック」になり、今では、開催地の東京が緊急事態宣言を出し、コロナと戦っている最中なのに「安全で安心できるオリンピック」を実現させると変わってきました。
コロナに感染した人たちの命を守る方法も見つかっていないし、入院できない感染者もたくさんいて、今すぐにコロナを収束させることができないとわかっている中で、これらのすべては、私たちが選んだ指導者(?)が出した答えです。この現実に私は、この状況を生き延びるために、「怒り」でエネルギーを使わず、すべてを見届け、エネルギーを温存したほうが良いと思っています。