私たちは子どものころから、、インフルエンザにかからないように、家に帰ったら、必ず「手洗い・うがい」をしなさいと言われて育ってきました。今の新コロナウィルスに対しても、治療方法が確立していない中で、身を護るために一番大切なことは「手洗い」と言われています。先日TVを見ていたら、あの池上彰さんがクイズ番組で「このような手洗いは、いつ頃から行われるようになったか、知っていますか?」と質問していました。
私もわかりませんでしたが、医術が生まれたころ?石鹸が生まれたころ???少なくとも何百年前かな?と考えていました。ところが正解は、なんと「19世紀中ころ」でした。消毒法の先駆者といわれる医師センメルヴェイス・イグナーツ・フュレプ(ハンガリー、1818~1865)という医師がいて、産褥熱の発症が多く、死亡率が高かった時に、「手を洗う」ことで、劇的に産婦の死亡率を下げることを発見し、「手洗い法」が、死亡率を1%未満に下げられる、科学的な根拠を数多く示したんだそうです。しかし、この方法は当時の医学界に受け入れられることなく、逆に、彼に怒りを示したり、嘲笑する医師さえいたんだそうです。その結果、この医師は神経衰弱に陥ってしまい、精神科病棟に入れられ、衛兵から暴行を受け、その傷がもとで、47歳で亡くなったという説明をしていました。
そして、このように「通説にそぐわない新事実を拒絶する傾向、常識から説明できない事実を受け入れがたい傾向のこと」を、センメルヴェイス反射と言うんだと話していました。
この話を聞いて私は、「正しいことは必ず人に伝わるはずでは?」「人に伝わらない正しさとは何?」「人にわかってもらう方法は何?」「科学的に証明されたということの意味は何?」「正しいことを人から聞いても、理解できない私は?」「人の話を正しいと思えるのはどんな時?」「正しいことが、みんなにわかってもらうまでには、どれだけの時間が必要なの?」「何事も、情報を発信する人と、受信する人の技術や考えだけではなく、時間がとても大切」など、気づかされました。
今回のことで気付かされたことは他にもあります。「不要不急の行動は控えましょう」と言われ、「必要で急ぐ用事って何?」自分のしていることは「必要なこと?」「急ぐこと?」と考えました。ほとんどが不要不急のことのように思えてきます。「本当に必要なこと、本当に急なこと」って何?と、考え直すいい機会になりました。また、世の中には、こんな仕事があったのか!と、知ったり、こういう人たちが働いてくれているから、私の生活が成り立っていたんだと気づかされています。さらに、世の中には、こんな風に考えたり、こんな風に行動する人たちがいたんだ!と驚かされることもたくさんあります。「事実は小説よりも奇なり」、世界が広いことを知らされる毎日です。