『ルールを守る』というテーマで書き始めたとき、私の頭に浮かんでいたのは、生まれたときすでに在る規則を子どもたちはどのようにして受け入れているのか?また、大人は、どのように子どもたちに説明をしてゆけばよいのか?ということを考えていたのですが、書いている間に、世の中のほうで、『ルールを守らない権力者』が次々現れてきました。規則を作る政治家たち、作られた規則通りに仕事を進める官僚・行政マンたち、規則が守られているかどうかを判断する司法(裁判・検事・弁護士)たち、のなかで、ルールがきちんと守られていないことが明らかになってきたのです。
日本国憲法の99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と明記されています。今、考えなければいけないのは、子どもたちに「ルールを守らせる」ことではなく、権力者たちに『ルールを守らせる』ことだったことに気が付きました。
先月、大阪で開かれている「万博」の話を書きましたが、「喫煙」だけではなく、「レジオネラ属菌」が検出されたにもかかわらず、噴水ショーが中止されることなく行われたり、子どもたちが、裸足で水遊びしていた池も、立入り禁止にしない日が続いていました。もっと深刻な話は、国を挙げてやっているにもかかわらず、パビリオン建設に携わった会社に、お金が支払われなくて、たくさんの会社が倒産しかかっているという話まで起きています。
ある会社は、検察庁に「外国に武器を売った」という事件をでっちあげられていたことが、裁判で何年もかかって、「無罪」だということがはっきりしたり、国会では、会議の記録を「処分」「廃棄」どころか、「記録していない」ということなどが起きていることが次々明らかになっています。一体、我が国はどうなっているの!
私が子どものころ、「新聞やTVのニュースは正しいことしか伝えていない」「先生が言うことは正しい」「警察官は法を守らない人を取り締まっている」「弁護士や検事は、法を守っている人たちだから、正義の味方」など、思い込んでいました。私が住んでいた町には、軍需工場があったので、時々、自衛隊の戦車や車両がやってきました。そんな時「自衛隊の車は、絶対に交通違反をしない」と聞かされたこともありました。ですから、「ルールを守る」という言葉は、私たち子どもや、庶民が「ルールを守る」ことを考えるものと思っていました。今は全く違うことを考えなければならない時代・状況になっていることを、教えられています。しかも、わが国だけではなくもどこの国でも起きていて、米国では、大統領でさえ「ルール」を無視しています。我が国では、天皇以外の政治家・官僚・公務員・法曹界の人たちに「憲法99条を守れ!」と子どもたちと声を上げなければいけない状態になったようです。