先月、大阪で開かれている「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした万国博覧会で、『ルールは変わる』という面白い(?)出来事が起きました。現在は、公共の施設・病院などでは全面禁煙ですし、東京だけではなく、大阪も市街地での「歩きたばこ」は禁止されています。ですから当然、人類が望む「未来社会」は、「たばこの煙のない社会」と考えられているはずです。ですから、万博の広い会場(約155ha)でも禁煙で、東ゲート傍に一か所だけ喫煙所が設けられていました。何万人もの人が集まるのだから、誰か隠れて喫煙する人がいるかもしれないと、思われていましたが、会場内は「メタンガス」が地中から漏れ出ているので、さすがに皆さん守っているのだろうと思われていましたが、会場の関係者だけが入れるバックヤードのいくつかの場所で、たばこの吸い殻が見つかったり、関係者が喫煙している姿が映像でとられ、中にはインタビューされていた人までいました。
この映像が流れた後、万博の主催者は、『ルールを守るよう』呼び掛けるのではなく、逆にルールを緩和したのです。つまり喫煙場所を増やしたのです。そうなんです。『ルールを守らない人』がたくさん現れると、ルールは変わったのです。昔「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった、お笑い芸人もいました。この話は日本国内のことでしたが、今回の万博会場には、世界中の人が来ています。日本の国では当たり前と思われている「禁煙ルール」も、それぞれの国では、どうなっているでしょう(?)日本でも「禁煙」が常識になったのは、数十年前からで、私の子どものころは、映画館でも学校の職員室・公共施設のどこでも、大人のいる所では、たばこの灰皿は当たり前のようにある中で生活をしていました。実は、『ルール』は時代とともに変わってきていたのです。
『ルール』と同じように理解されている言葉に『約束』があります。よく子どもと大人の間で「親との約束」「先生との約束」などがあります。この言葉は、まだ、言葉が出ない幼児に対しても使われることがあります。とても不思議です。なぜなら、これらの「約束」は、必ず、大人が決めているからです。私も経験があります。「あなたは、あの時○○すると約束すると返事したでしょ」などと言われたものです。大体、あの時のことをよく覚えていませんでしたが、なんとなく「ウン」と、うなずいたような記憶があるので、きっと自分は「約束」したんだと思わされてきました。私は、『ルール』はお互いが対等な関係で結ばれ、時とともに変化することがあるということを知らされませんでした。
「ルールを守れ」という言葉は日本国憲法にも載っていました。99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法を尊重し養護する義務を負ふ。」私には、80年経っても、文字通り憲法を守っているのは、天皇だけに見えます。そして、大人たちは、子どもたちに、社会が変わっているのに、昔と同じ「ルールを守れ!」と言っているような気がします。